オーケストラの響きを向上させるためには、プルト配置がとても重要です。
しかし、プルトには明確な正解がありません。
経験やセンスがモノをいう世界です。
筆者はこれまでコンサートマスター・2ndトップともにそこそこ経験しました。
特に、アマオケでのプルト決めはそこらの人に負けないくらい場数を踏んだつもりです。
また、日本のプロや海外の指導者のアドバイスも受けてきました。
本記事では、これから実際にプルトを決める人、配席の考え方を知りたい人向けに、
より良いアンサンブルを実現するためのプルトの決め方を紹介します!
※今回はファーストバイオリン編になります。

隣同士 / 表裏の決め方

まずは、隣同士の良い組み合わせ方を紹介します。
前提知識として、プルトは「表」「裏」で構成された2人1組のセットになります。
表は観客に近いほう、裏は遠いほうです。
この表裏で繋がれた隣同士は、お互いの演奏に影響されやすいため、組み合わせが重要になります。
隣同士は「バランス」が重要
結論、性格の異なるプレイヤー同士をかけ合わせるとメリットが多いです。
- 表が堅実に弾く人 → 裏に積極的な人を置いて演奏を流動的にする。
- 表がグイグイ行く人 → 裏に堅実な人を置いてバランスを取る。
上記はあくまで一例です。
お互いに良い影響を及ぼすことを狙って配置しましょう。
そのほか、ベテランと初心者を置くのも非常に有効です。
さまざまな弾き方の人を掛け合わせるのがおすすめです!
表裏で迷ったら「表に技術力のある人」がおすすめ
基本的に、表に技術力のある人を置くことをおすすめします。(もともとの技術が高いプロオケは別です)
理由は主に次のとおりです。
- 表は高音を担当することが多いから
Divisi がある場合、表が上、裏が下の音を担当します。
特に1stの場合は、表に相当な高音が来ることが多いです。技術力のある人を優先しましょう。
(オクターブdivのとき、裏が表を支えやすいメリットもあります!) - 裏が譜めくりを担当するから
演奏中、譜めくりのためにどちらかが弾くのを辞める場面があります。
この時は目立たない裏側がめくるのが通例です。
弾き続けられる表に技術力があったほうがよいです。
ただし偏りすぎには注意!
表全体と裏全体の技術力・性格が偏りすぎないように注意しましょう。
特に裏にメロディーが多い曲なら、バランスを取るのが重要です!
そのほか、そもそも裏で弾くことが向いている人もいますね。
こういった曲には、裏にも強い人を置きましょう!
プルトの決め方

↑筆者の考えかたを簡単に図にしました。
表裏の組合せと同じくらい重要なのが、位置です。(=何プルに置くか)
位置によって求められる能力が全然異なってきます!
超重要位置
折り返し前ラスプル

全信頼を置けて、かつ勇気のある組合せを置くことをおすすめします。
特に表は強力な人を配置するとよいです!
この折り返し前ラスプルは、もっとも難易度の高い位置です。
理由は、端っこのためオケの音が非常に聴こえづらいからです。
なのに、1stとしては一番しっかり弾くことを求められるのです。
(後ろの人がしっかり弾かないと、前のプルトに不安・疎外感を与えてしまうからです)
なので、あなたが全信頼を置き、かつ勇気を持って弾いてくれる人をおすすめします!
折り返し後1プル(表)

折り返し前ラスプルと同じくらい重要な位置。
ここには、「自分が居なくても良い方向に導いてくれる」人をおすすめします。
理由は、折り返し後の人たちは、折り返し前との連携が物理的に取りづらいから。
そして、しばしば折り返し後1プルを目安にするからです。
それ以外にも、バイオリン全体の中央であるため、音の影響力も大きいからです。
後ろを導いてくれる人、自分と同じ方向性を感じとってくれる人を置きましょう。
裏はそれを阻害しない人を置くのがおすすめです。
2プル表

2表に求められるのは、コミット力と伝達能力。
1プルの演奏を汲みとる技術、伝言ゲームをすぐに回してくれる能力が必要です。
オケ中は、やむを得ず1プルから後ろに指示を回すことがあります。
2プルがすぐに後ろに伝えてくれると、コンマスとしては非常に助かります。
凄い人だと、後ろが疑問に思っていることを後でコンマスに伝えてくれたりします。
コンマスの演奏を上手く汲みとることも大切です。
ただし、役割を勘違いしてアインザッツを出そうとする奏者が出てくるが、これは逆効果です。
トップ以外の奏者が勝手にアインザッツを出すと、全体に混乱をもたらします。
後ろの奏者が本当に知りたいのは、以下のような情報です。
- 音の熱量
- crescやaccelのエネルギー感
- 音楽が向かう目標地点
- フレージング
ほかの位置
トップサイド

トップサイドは、コンマス自身が隣に置いて心地よいと感じる人が一番です。

参考までに、私がトップサイドに求めるのは堅実さと調和力です。
ただし、主張の激しい人は置かない方が良いです。
管打楽器は、コンマスの弓や振り被りを見てタイミングを合わせます。
コンマスよりも主張の激しいトップサイドがいると、言い方が悪いですがかえって邪魔なのです。
「コンマスを食ってやろう!」みたいな下克上は心の中にとどめ笑、
実際は、コンマスが仕事を遂行できるよう、堅実な音でサポートしましょう。
2プル裏

この位置は非常に弾きやすいですが、音の影響力もそれなりに高いです。
指揮者にもよく伝わります。
また、重要な2表との相性も考えて人選をしましょう。

折り返し後ラスプル

勇気がある人、かつ、前を見れる人を置きましょう。
折り返し前ラスプルほど疎外感はないが、やはり弾きにくい位置です。
なお、同じ人をラスプルに起用しすぎるとモチベーションを下げてしまいます。
注意しましょう…!(経験談)
バランスを取るのが◎!
中間エリアのプルト

のびのびと弾ける位置です。
オーケストラの響きのよさを感じられるエリアですね。
特に、図面でいう3〜4プルは気持ちよく弾けます!
筆者はこんな感じで配置しています。
- ベテランと新人をセットで置いて面倒を見てもらう
- エキストラを置く
- ラスプルをお願いした人に、別の曲でここに置いてモチベを高めてもらう
補足:前から年功序列は良くないの?
いくつかの学生オケ・音大オケでは、前に先輩、後ろに後輩を置くことがあります。
理由は、シンプルに前のほうが目立つ … 卒業していく先輩の華を見せられるからですね。
こうした目的がメインであれば、アリかもしれません。
筆者も、高校時代のオケはそうでした。
ですが、純粋なチームワークとしてはおすすめしません。
経験の少ない人が後ろに固まるとアンサンブルが乱れやすいからです。
音の厚みも出にくいです。
先輩は前だけでなく全体に混ぜたほうが、パートを鼓舞しやすいと思います!
まとめ
今回は筆者の経験をもとにプルトの決め方を紹介しました。
冒頭のとおり、プルトの決め方には正解がありません。
アマオケとプロオケでもまた違うと思います。
ただし、今回紹介した内容は多くの人から教えを受けたものでもあり、参考にできる部分もあると思います。
今回をきっかけにプルトの見方・アイデアが広がれば幸いです!