バイオリン弦・肩当て、室内楽曲、オーケストラ曲の紹介・解説をしています。興味があればご覧ください!

あなたに合う弦はどれ?演奏スタイル別おすすめバイオリン弦9選!

  • 私はアンサンブル中心だから馴染む音がいい…!
  • いや、やっぱりソロではもっと華やかに鳴らしたい!

──そんなふうに、演奏スタイルごとに“欲しい音”は変わってきますよね。

実は、バイオリン弦にも「演奏スタイルとの相性」があります。
ソロ・室内楽・オーケストラなど、シーンに合わせて選ぶことで、音の魅力は大きく変わります。

今や弦の種類は50以上
どれが自分に合うのか、迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。

この記事では、バイオリン歴35年以上・コンクール出場経験ありの筆者が、
これまで実際に使用してきた弦の中から、以下の3タイプに分けておすすめを紹介します:

  • 🎻 ソロ向き(華やかでパワーのある音が欲しい方に)

  • 🤝 アンサンブル向き(ハーモニーに溶ける柔らかい音を求める方に)

  • 🔁 バランス型(どの場面でも使いやすい万能タイプ)

目的に合った弦を選ぶことで、あなたの演奏はもっと自由に、もっと豊かに。
コンクールで頼れる「勝負弦」から、室内楽で活躍する「溶ける弦」まで──
きっとあなたにぴったりの1本が見つかります!

ソロで映える!強い音のバイオリン弦

コンクール発表会など、“ここぞ”という場面で力強く響かせたい方に。
ここでは、説得力と存在感を兼ね備えた2本を紹介します。

🥇ロンド|芳醇で風格ある音!

寿命 3〜5か月(1日1時間程度の使用)
価格 約16,000円(2025年5月時点)

ロンドは、太く芯のある音に加えて、どこか芳醇で高貴な響きが特徴。
演奏会やコンクールで弾いたときの「支えになる」安心感があり、
音が前に飛び、パリッとした輪郭で会場に届きます。

💡 エヴァピラッツィに比べて
ロンドはより風合い豊かで、複雑な音
エヴァよりコスパ良く使えるのも魅力!

この弦は、もともと「LUTHIER LINE」という一部の海外工房限定でした。
最近市場にも流通し、日本の工房にも注目されています。

筆者
私の師匠もロンド派。
音色の引き出しを作りたいなら絶対後悔しません!

🥈エヴァピラッツィ|オーラを放つような存在感

寿命 4〜6か月(1日1時間程度の使用)
価格 約18,000円(2025年5月時点)

エヴァピラッツィは、ピントの合った音と輝かしい”オーラ”が魅力。
とにかく一音で耳を引き、ソロでの存在感は随一です!

特に高音域での伸び音の輪郭が光ります。
弾きやすさも長所です。

💡 ロンドに比べて
エヴァピラは運弓が非常になめらか
また、ロンドより存在感があります!

コンクールならとにかくおすすめ。
音量だけでなく技巧面もサポートしてくれる名弦です!

筆者
私も昔、コンクールではエヴァを使っていました。
“勝負弦”として張りたいなら強くおすすめです!

ソロも合奏も両立したい!万能系の弦

ソロの華やかさも、アンサンブルでのなじみやすさも両立したい──
そんなプレイヤーにぴったりの、“程よいパワー”の弦を2本ご紹介します。

🥇ダイナモ|骨太な大型ルーキー

寿命 4〜6か月(1日1時間程度の使用)
価格 約18,000円(2025年5月時点)

ダイナモは、「骨太な音」が魅力の弦。
弾きごたえバツグンで、しかも弓圧を掛けるほど”深い音”になります。

また、癖のないクリアな音色もポイント。
どんなシーン、どんな楽曲にもフィットします!

💡 ピーターインフェルドに比べて
音の厚みと深さが魅力です!
寿命の長さもポイント!

この弦はトマスティーク社が長年かけて、2023年に送り出した新作です。
口コミはまだ少ないですが、もっともっと流通する実力があると感じています。

筆者
本当に厚みがあり深い弦。
新作の中でも一度は使ってほしい弦です!

🥈ピーターインフェルド|きらびやかな色彩が魅力!

寿命 3〜4か月(1日1時間程度の使用)
価格 約15,000円(2025年5月時点)

ピーターインフェルドは、華やかさと表現力を兼ね備えた弦です。

音に自然な色彩があり、どこか“語りかけるようなニュアンス”を感じさせます。
弾いてみるとその音色の変化にハッとさせられる場面が多いです。

また、ロンドやエヴァピラッツィと比べると、ややソフトで甘めの輪郭
オーケストラや室内楽でも問題なく使えます。

💡 ダイナモに比べて
より音の引出しと味がある、”芸達者”な弦です!

ピーターインフェルドも歴史は新しいほうですが、
使用者がかなり多い、安心の人気弦です。

筆者
さまざまな“表情”の音を見せてくれます。
色彩を付けたいならぜひおすすめです!

オールラウンダー向け!バランスの良い弦

室内楽・オーケストラ・小規模なソロなど、バランス良く対応したい方に。
音色のまとまりを重視するプレイヤーにおすすめの、扱いやすい弦を3つ紹介します。

🥇ドミナントプロ|高水準の優等生!

寿命 3〜5か月(1日1時間程度の使用)
価格 約11,000円(2025年5月時点)

ドミナントプロは、カラフルでまろやかな音が魅力です。

耳なじみがよく、程よい存在感もあります。
メロディーでも内声でも活躍できる、まさに“オールマイティ”な弦といえるでしょう。
張力が強すぎないため、扱いやすさも優秀です

さらに、従来のドミナントよりも金属的な響きが抑えられているのもポイント。
シャリシャリ感が苦手だった人は、この弦のまろやかさに驚くと思います!

💡 コストパフォーマンスも抜群。
寿命も改善され、あらゆる面で扱いやすくなっています!

筆者
正直、欠点が見当たらないんです。
高水準なバランス弦を求めるなら間違いなくおすすめ!

🥈ラーセン・イルカノーネ|ピュア、柔らかさが魅力

寿命 4〜5か月(1日1時間程度の使用)
価格 約10,000円(2025年5月時点)

イルカノーネは、ピュアでやわらかい響きが持ち味の弦です。
その音はまるで光や水を思わせる透明感
「音を飛ばす」よりも、「空間に広がる」ような響きです。

張力はやや弱めで、弓圧が少なくてもよく鳴ってくれるのも特徴。
トマスティークやピラストロの弦に比べると、“よく振動させて鳴らす”という感覚に近いです。

💡ソロのメロディーにも、室内楽や内声にも柔軟に対応できる、静かな実力派。

 
筆者
少し慣れは必要ですが、とても綺麗な音。
使いこなせたら素敵な弦です!

🥉インフェルド赤|焚き火のような暖かさ

寿命 3〜5か月(1日1時間程度の使用)
価格 約9,000円(2025年5月時点)

インフェルド赤は、暖かく包み込むような音が特徴の弦です。
まるで焚き火にあたるような心地よさがあり、音の中にほのかな揺らぎを感じます。

張った瞬間から「味がある」と感じ、音の個性も魅力。
音の引出しが多いため、ソロのみならず内声にも抜群にフィットします。

💡 ランニングコストが抜群に良いのもポイント!

 
筆者
ちょっと暖かめの音を求める人にオススメです!

室内楽・内声重視なら|響きの広がる弦!

「目立ちすぎず、でも美しく響いてほしい」──
そんな繊細な要望に応えてくれるのが、この“広がり系”の弦たちです。
内声やハーモニーでの調和を大切にしたい方、柔らかく余韻のある響きが好きな方におすすめです。

🥇オブリガート|木の幹のように太く暖かい音

寿命 4~6か月(1日1時間程度の使用)
価格 約18,000円(2025年5月時点)

オブリガートは、太くてあたたかい音が最大の魅力。
まるで木の幹を感じさせるような重厚感があり、音に自然な存在感を加えてくれます。

また、この手の「内声系」の中では、
意外にも輪郭がはっきりしており、速弾きにも耐えるのがポイント。
強い弦からの乗り換えでも違和感が少なく、操作性も良好です。

💡 Tiに比べて
とても弾きやすく、弓圧にも耐えうる弦。
技巧的な場面にも対応したいならオブリガートはイチオシです!

 
筆者
「内声の王」と呼んでもよいほどハイスペックな弦です!

🥈Ti|空気のように広がる“隠れた銘弦”

寿命 4~5か月(1日1時間程度の使用)
価格 約10,000円(2025年5月時点)

Ti(ティーアイ)は、甘く、柔らかく広がる弦です。
こちらは、より味わい深い音となっています。

弦に独特の“風合い”があり、色々な発音が可能。
耳元だとやや大きく鳴りますが、周りで聴くととても程よい暖かさ
音楽をじっくり紡ぐ演奏にはぴったりです。

あまり知られていませんが、Tiもロンドと同じく「LUTHIER LINE」の弦です。

💡 オブリガートに比べて
テンションが低めで、音の引出しが多彩。
ていねいに運弓できる人こそ真価を発揮する弦です!

筆者
インフェルド赤と同じく、ランニングコストの良さも魅力!
興味があったらぜひ試してください。

まとめ|自分のスタイルに心地よい弦を!

今回紹介した弦と、そのおすすめシーン一覧
ソロ向き ロンド
エヴァピラッツィ
ソロ&合奏 ダイナモ
ピーターインフェルド
バランス ドミナントプロ
ラーセンイルカノーネ
インフェルド赤
内声向き オブリガート
Ti

🎯 迷ったらコレがおすすめ!

筆者
自分との相性を知るために、色々な弦を試すのも大切なことです。
ぜひ”マイ弦”を見つけてくださいね!