- 最近発売された「ダイナモ」って、ほかの弦と比べてどんな音質だろう?
- 使ったことがある人の意見や評判が聞きたい!
2023年、バイオリン弦に「ダイナモ」という弦が誕生しました。
新作の弦ということで、どんな音色か気になる人も多いのではないでしょうか?
私は、ダイナモを3月から1年ほど使いましたが、最新作にふさわしい分厚さとパワフルさを兼ねそろえた音でした。
この記事では、バイオリン歴35年以上・コンクール歴ありの筆者が、ダイナモの音色、操作性、コストパフォーマンスなどを紹介・レビューします。
この記事を読むと、ダイナモのどういった点が魅力なのか、どのようなプレイヤーにおすすめなのかが分かります。
簡単な長所・短所まとめ
- 癖のないクリアな音色
- 分厚い弾きごたえ
- 長持ちする
- チューニングの安定が早い
- 強い弦なので弓圧のコントロールが必要
- 染みわたる音、じんわり広がるような音はやや苦手
コンセプト・・・ ダイナミックレンジの広さとパワーがウリの新商品
ダイナモは、バイオリン弦の老舗メーカー「トマスティーク(Thomastik)」社が開発した商品です。
コンセプトは大きく2つあります。
公式ページによると、「私たちは、このダイナモを多くの情熱と忍耐をかけて開発しました。その結果、私たちが想像したものよりもはるかに素晴らしいものになりました」とあります。
実際に、ダイナモはその設計段階からテストまで4年以上かかったとされています。
また、トマスティーク社のトップページにも、このダイナモのロゴ画像や紹介動画がいたるところにあります。
それだけ熱意をもって開発された弦だということが分かります。
ダイナモの公式紹介や、レビューなどを見ると、いずれも「ダイナミックレンジ(音量幅)が広い」と書かれています。
弓圧をかけるほど音量が際限なく増していく感覚です!
音色・・・ クセがなく扱いやすい、とても骨太
ダイナモの音色は、上の画像のとおりです。
- プレーン(輝かしい・暖かいの中間くらい)な色彩
クセのない色味をしており、どんなテイストの曲でも弾きやすいです。 - やや芳醇な質感
やや複雑な音質です。
材質感はそこまでなくて滑らかです。耳なじみはよいと思います。 - 焦点が強め
はっきりしたピントです。音の輪郭がしっかりしています。
ダイナモのほかの特徴として、とても芯が分厚く、弾きごたえがあります。
音圧に対する耐性がとても高いです。弓圧をかけても全然つぶれず、とてもパワフルな音になります。
相性のいい奏者は、ソロ曲をよく弾く人。または、ソロ・オーケストラ両方で活動する人です。
音のとおりがよく、ソロとの相性はもちろん良いです。
また、オーケストラでも悪目立ちせずに弾くことができます。エヴァピラやロンドほどピントが強くないためです。
惜しい点として、ほっとするような音、染みわたる音は少し苦手です。
あえて言うならです。音色自体にクセがないのでごまかせやすいです。
張力、操作性・・・ 特にDG線が強い
ダイナモの張力はやや強めです。
E線もそうですが、A線に比べてDG線が強いのが特徴です。太い弦が強いため、歯ごたえを感じるのだと思われます。
- メリット:
- ダイナミックスレンジが広い。
- 弓圧をかけてもつぶれにくい。
- 音の輪郭が伝わりやすい。
- デメリット:
- 力みやすい。
- オールド楽器との相性が強くでる。
これらの特徴から、ダイナモはよくも悪くも中上級者向けの弦だと思います。
左手・右手ともに、弦の強さをしっかりコントロールする必要があるからです。
操作性は非常によいです。
音の立ち上がり・指回りともに良好で、速弾きも難なくできます。
ランニングコスト・・・ ★★★★☆(そこそこ優秀)
- 本番で使うなら ⇒ 3か月程度
- 練習するだけ ⇒ 4~6か月程度
※現在の筆者の演奏時間は、平日30~1時間程度、休日1~3時間程度です。
もっと弾く方や、音大生、プロの方はこれより短くなると思います。
値段:2024.4時点で15,000円前後
(円高の影響もあり高めです)
コスパはそこそこ優秀です。値段は高いものの、かなり長持ちだからです。
また、劣化のしかたもゆるやかで、本番がなければ半年近く使うこともできます。(練習時間による)
ちなみに、張るなら全線セットをおすすめします。E線がとても良い、というかE線の骨太さが魅力だからです。
その他長所、短所
◎チューニングの安定が早い
ダイナモは張ってからすぐに調弦が安定します。
まとめ
- 分厚い、太い音を試してみたい人
- クセのない音色が好きな人
- ソロをよく弾く人、ソロ・オーケストラ両方で活動している人
- ランニングコストを求める人
新作の弦は、最初あまり評価が高くないことが多いですが、このダイナモはとても素晴らしい弦だと思います。
トマスティークが数年かけて開発した渾身作というだけあります。
厚い音を体験したい人は、特に試してみてください!