- ドミナントプロって、何が“プロ”なの?
- 普通のドミナントとどう違う? 他の最新弦と比べて優れてる?
そんな疑問を持つ方に向けて、この記事では
ドミナントプロの魅力と進化を分かりやすく紹介します。
ドミナントプロは、ドミナントの誕生50周年を記念して2021年に登場した新モデル。
旧来のドミナントの良さを受け継ぎつつ、音の輪郭やバランス感、コスパまで見事に進化しています。
私自身、ドミナントプロを数年にわたり使用し、現在もストックとして持っています。
さまざまな新作弦を試した中でも、バランスの良さではトップクラスだと感じています。
この記事では、バイオリン歴35年・ビオラ歴5年以上の筆者が
- ドミナントとの違い
- 音色・弾きごこち・寿命の特徴
- どんな奏者に向いているか
…といったポイントを、実経験に基づいて詳しくレビューしていきます。
ドミナントプロの長所・短所まとめ
- カラフル・円やかな音色
- 広がりのある音が得意
- ドミナントの金属成分が抑えられている ⇒ シャリシャリ感が苦手だった人にもおすすめ
- ランニングコストが最高
- 最近の弦に比べると、パワー・耐弓圧はやや控えめ
コンセプト・・・ ドミナントをベースに、金属音を減らしてより現代的にした弦
ドミナントプロは、老舗弦メーカー・トマスティーク社の製品です。
コンセプトは次のとおりです。
一番大きな改良点として、ドミナントの金属成分が大きく抑えられています。
後述しますが、独特のザラザラ感や、弾き始めのシャリシャリ感が大きく軽減されています。
音質について、公式ページでは
「輝きと暖かさのバランスが良く、優れたレスポンスと弓の圧力に対する耐性を備えている」と書かれています。
実際に弾いた感触としても、その通りだと感じました。
音色・・・ カラフルでまろやか

ドミナントプロの音色は上の画像のとおりです。
総括すると、まろやか寄りの、バランスの取れた音色です。
- やや暖かい色彩
耳なじみがよい。ちょっとカラフルな暖かさ。
ハッと目を引く音ではないが、とても心地よい音色です。 - クセのない質感
バランスの取れた質感。雑味はなく、他方、クリーンすぎない。
従来のドミナントはけっこうテクスチャーを感じたが、ドミナントプロは比較的なめらかです。 - やや緩めのピント
広がりのある響き。
良い意味でブレがある。 - 従来のドミナントの金属音がほぼ無い
ドミナントのシャリシャリ感が苦手な人にもおすすめ。

総合的に、どんなシーンでも合う音色をしています。
特に、サロンリサイタルや室内楽に向いていると思います。
内声としても非常に弾きやすいです。とても溶ける。
デメリットをあえて挙げるとしたら、突き抜けるような音は出しづらいです。
広いホールでの独奏・トップソロがあるなら、よりピントの強い弦が適しているかも。
プロの演奏家では、ウィーン交響楽団の第一コンマスを務めた Anton Sorokow 氏をはじめ、数多くのソリスト・オケ奏者に使われています。
張力、操作性・・・ 張力は標準的、操作性はけっこう良い

ドミナントプロの張力は標準的です。
- メリット:
- 力まずに大きな音を出せる。
- 音に落ち着きを感じやすい。
- デメリット:
- 最近の弦に比べるとパワー・弓圧許容度が劣る。
(=あまり無理な弾き方はできない) - パリッとした音はやや苦手かも。
- 最近の弦に比べるとパワー・弓圧許容度が劣る。
操作性は良好です。
さすがにソリスト向けの弦(エヴァピラなど)と比べるとレスポンスは劣りますが、超絶技巧でもない限りは全然ストレスなく弾けます!
ランニングコスト・・・ めちゃくちゃ良い
- 本番で使うなら ⇒ 3~4か月以内
- 練習するだけ ⇒ 4~5か月程度
※現在の筆者の演奏時間は、平日30~1時間程度、休日1~3時間程度です。
もっと弾く方や、音大生、プロの方はこれより短くなると思います。
値段:10,000円前後(2025.4時点)
寿命は、やや長い。
従来のドミナントよりも圧倒的に改善されました。
劣化もゆるやかで、練習時間次第では半年近く使うこともできます。
値段は、けっこうリーズナブル。
セットでおよそ1万円以下。さすがにドミナントよりは高いものの、インフェルド赤青と同じくらい安いです。

この値段でこのクオリティの弦は他にほとんどありません。
その他長所、短所
◎セットで張るのをおすすめ
ドミナントプロは、各G~E線同士の相性がとてもよいです。
公式ページでも、”Very balanced between the individual strings” と書かれています。
個人的に、E線できちんと太い音がするのがgood。
したがって、張るなら全線統一をおすすめします。

◎ビオラ弦としてもおすすめ
ドミナントプロは、当初バイオリン弦のみでしたが、追ってビオラ用とチェロ用も開発されました。
ビオラ弦は、バイオリンよりも若干強めのテンションです。
内声適正もありつつ、しっかり主張することもできます。

まとめ
- まろやかな音色が好きな人
- サロンコンサートや室内楽向きの音を追求する人
- ランニングコストを求める人
ドミナントプロは、全バイオリン弦のなかでも筆者が特におすすめする弦です。
オーケストラや室内楽など、さまざまなシーンで弾く機会があるのなら、とても使いやすいです。
