綺麗なハーモニーって、どうすれば生まれるんだろう?
技術に優れた人が集まっても、なぜか音が“かみ合わない”──そんな経験はありませんか。
ハーモニーを美しく響かせるには、ただ音程を合わせるだけでは足りません。
音感の種類や好みのズレ、音量バランス。
さらには“和声のセオリー”といった要素が複雑に絡み合っています。
この記事では、アンサンブルで綺麗なハーモニーを作るために必要な3つのポイント──
「音感」「バランス」「和声理解」について、筆者の実体験を交えながら解説していきます。
ぜひ参考にしてください!
- アンサンブルに必要な「音感」の種類
- ハーモニーを整える/壊す”音量バランス”
- 三度・五度・七度を合わせるための実践的な和声
優れた音感
平均律、めっちゃ重要

「ハーモニーって純正調が大事なんでしょ?」
──そう思う方も多いと思います。
でも実は、平均律の感覚こそ最重要なんです。
まず前提として、音階には平均律と純正調の2種類があります。
- 平均律:ピアノで弾くドレミファソラシド。半音が等間隔。
- 純正調:ハーモニーに特化した音階で、調によって音程が微妙に変わる。
たしかに純正調は美しい。でも平均律が整っていないと、アンサンブルは噛み合いません。
何故かというと、平均律は「常識」だから。
難しい和音(減七や歯抜けの和音など)を合わせるときも、
全員が平均律の「常識」を共有していないと音がバラバラになります。
幸い、平均律は、一人でも練習して鍛えやすいです。
極端な話チューナーと同じなので。
「自分の常識がズレてないか?」をまず疑ってみましょう。

純正調はみんなですり合わせるもの

平均律の感覚をベースにしつつ、アンサンブルでは純正調向けの調整が求められます。
特に内声弾きやベースにとっては命題。
そしてこの純正調、実は奏者によって“好み”がかなり分かれるんです。
特に影響が大きいのが第三音(後述)。
この音は、弾き手の感覚によって「高め派」「低め派」に分かれます。
- メロディー重視派:高めの第三音を好む傾向
- 内声プレイヤー派:低めの第三音がしっくりくる
この純正調の好みをどう擦り合わせるかが、特に室内楽で大事になります。
これは経験を積むしかありません。
さらに、”はじめまして”のメンバー同士では、純正調の感じ方が違ってなかなか合いません。
だから、できれば同じチームで続けるのが大切なのです。
純正調によるハーモニー作りができないと話にならないからです!
優れた音感を持っていると言えるでしょう!
音量バランス・音色
音量バランスも超大事

ハーモニーは、誰かが突出していると良いものになりません。
突出した人がいると、ハーモニーではなくコンチェルトになってしまいます。
誰か一人が極端に上手いカルテットよりも、4人同じくらいの実力でしっかり気を遣えるカルテットのほうが良い和音になったりします。
これは音量バランスが大きな原因です。

音色も大事
音色にも、やはりハーモニー向きのものがあります。
弦もそうですし、弾き方的な個性もそうです。
“あまり目立たないけど邪魔にならないプレイヤー”は、こういう音色が無意識的に得意です。
根っからの内声向きと言えるでしょう。
世知辛い話だが、楽器の値段も大事だったりします…
特に内声とベースの楽器は重要です。
最低限の和声知識
同じドでも求められる音程は全然違う

いま自分がオケで弾いている音。
どのコードの第何音か分かって弾いていますか?
たとえば、C-dur(ハ長調)のドミソと、As-dur(変イ長調)のラドミでは、ドの位置関係は全然違います。
後者は低めに取らないといけません。
今自分が弾いている音がどの構成音なのか知らないと、ハマる音程なんて分からないですよね。
知識が付いてくるとザラにあります(遠い目)
特に内声は、重要そうな音だけでもコードを調べておくことをおすすめします。
最低限の知識だけでいいんです。長三、短三、属七だけでもOK。
慣れてくると、調べなくとも弾きながらコードが分かってくるようになります。(←変態かな…笑)
これは、昔の私の師匠(超有名オケの首席)からも強く教わったことです。
コードを調べること、強くおすすめします。
はめ方のセオリーを知る
たとえば、長三度の第三音は低め、短三度の第三音は高め。
ただし奏者により好みが出る。
第五音は根音と十分に間をとる…など、
純正調に関するセオリーを少し知っておくだけで、ハマりやすい和音を作りやすくなります!
まとめ|聴いてすり合わせる力がハーモニーで重要
- 平均律と純正調、それぞれの音感
- 音量バランスの良さ
- 最低限の和声知識
何より、相手の音をよく聴き、自分の音を調整する力──
これこそが、アンサンブルにおける最大の武器です。
まずは自分の音感を見直し、少しずつ「和声の力」を育てていきましょう!