「楽器の演奏と、運動神経・運動能力って関係あるのかな」と悩む人は多いです。
楽器をやったことがない人はもちろん、楽器をやっている人で運動オンチな人はもっと悩むと思います。
ここでは、運動と楽器演奏の関係性について、バイオリン歴35年以上の筆者が考えます。
簡単なまとめ
- 楽器に必要な運動神経は、楽器をやっていれば身に付く
- ただし、総合的な能力(柔軟性や体幹)はあったほうがよい
- あえておすすめするなら全身を動かす系統の運動
結論
筆者の結論は次のとおりです。
一般的な運動神経は別にいらない。
その一方で、体幹トレーニングや全身運動で身体を鍛えたほうが楽になる。
一般的な運動神経がいらない理由
筆者は、俗にいう「一般的な運動神経(センスの良さ)」はいらないと思います。
なぜなら、楽器を弾くための神経は、楽器を続けていれば身に付くからです。
いわゆる運動オンチでも、楽器をやって「楽器を弾くための神経」が発達していれば良いです。
何よりの証拠として、運動がダメなプロは沢山いらっしゃるし、超上手いアマチュアもいらっしゃいます。
これはレイトスターターでも同じです。(単に発達速度にブーストがあるか無いかの問題)
全身運動や体幹トレーニングをした方がいい理由
一方、運動神経とは別の話で「身体のメンテナンスはした方が良い」と筆者は思っています。
ここでいう身体のメンテナンスとは、体幹、身体感覚や、柔軟性のことを言います。
特に、上級者がさらなる上達を目指す場合や、中年~老後も元気に弾きたい場合は重要です。
理由は以下の通りです。
姿勢の維持・体力の維持につながるから(特に30代以降)
基礎体力・しっかりした体幹があったほうが、身体を壊さないし、集中力の維持にも役立ちます。
体幹や基礎筋肉があると身体のブレを防げますし、無理な持ち方を防げます。
体力があれば集中力を保ちやすいです。
これは年齢を重ねるほど大切さを感じるし、バイオリン弾きなら尚更重要です。
ことさらバイオリンは左右非対称の動きですからね。
特に、30代以降…もっというと、普段デスクワークで運動不足になりがちな人は本当に大切だと思います。
一日の大半をパソコン操作、で、余暇も楽器演奏に充てるとなると、どれだけ身体がいびつになるか…
想像するまでもないですよね。何らかのメンテナンスをしないと絶対に身体が壊れます。
有名なソリストも、身体を壊さないために体幹トレーニングをしています。
フォームの改善につながりやすいから
さまざまな運動を行っていて脳と身体の伝達が鋭くなっていると、当然楽器にも良いです。
「いまのフォームで弾くことだけに特化した身体」よりも、
「全体的に鋭敏な反応を持つ身体」のほうが改善に良いのは想像に難くないと思います。
たとえば、肩甲骨周りの身体感覚があるのと無いのとだと、フォームを見直すのに全然違います。
バイオリンを弾くには基本的に肩甲骨を開き、固くしないことが大切です。
でも普段運動をしていないと、肩甲骨と筋肉が癒着するし、そもそも肩甲骨の感覚がないので改善しづらいのです。
おすすめの運動は?
あえて言うなら全身を動かす運動が良いと思います。
(好きなスポーツやればよいと思いますが…)
水泳はとても良いです。
一般的に体幹が鍛えられますし、肩甲骨を良く動かします。健康維持にも良いです。
筆者は小学生でスイミングスクールに通っていたので、いまも時々泳いでいます。
余談ですが、筆者が大学生のときの友人には、小学生で楽器習う→中高は運動部→大学で楽器再開、という人が多かったです。
そしてその人たちは飲み込みがめっちゃ早かったです。
小学生で楽器やってたから指の神経はちゃんと発達しているし、運動部だったから身体の使い方もうまい。
サッカー部・陸上部・空手部・水泳部出身がいましたが、みんなそうでした。
やはり普段から身体を使ってあげるのは重要なのだなと思いました。
まとめ
- 楽器に必要な運動神経は、楽器をやっていれば身に付く
- ただし、総合的な能力(柔軟性や体幹)はあったほうがよい
- あえておすすめするなら全身を動かす系統の運動
楽器はほぼ一生続けることができる数少ない趣味です。
でも楽器だけでは補えない運動要素もたくさんあります。
長く楽しく続けるためにも、上で紹介したような運動をやってみる価値はあると思います!