曲を弾いていて「音程がしっくりこない…」と悩んだことはありませんか?
実は音程の取り方には、大きく2つの手段があります。
「位置感覚」で取るか、「耳の感覚」で取るか--。
この2つ、似ているようで実は違いがあります。
私も昔、↓の譜面の音程が上手くハマらずに悩んでいました。

(これは数日前にご紹介した、サンサーンスの「オルガン付き」です)
このとき、当時の先生に言われたのが
“あー、耳じゃなくて手の感覚で音取ってない?”
という一言でした。
本記事では、私が昔教わった内容をもとに、
「位置感覚」で取る音程と、「耳の感覚」で取る音程、
2つの違いと鍛え方についてご紹介します!
- 「位置で取る」「耳で取る」音程の違い
- それぞれを鍛えるメリット
- オケや室内楽に役立つヒント
位置感覚で取る音程とは?
機械的で素早く取れるピッチ

「位置感覚で取る」とは、手の形、事前に決めた指の位置、ネックとの距離感など、
身体的な感覚を使って音程を取る方法です。
これは、多くの人が最初に身につける音程の取り方です。

たとえば「A線の3rdポジションで”レ”を弾いて」と言われたとき。
あなたは具体的な音を思い浮かべる前に、左手の形やポジションの位置感覚を頼りにしていませんか?
これが「位置感覚」で取る音程です。
ある意味“体育会系?”とも言えるアプローチかもしれませんね(笑)
メリット

-
スピードが求められる場面で強い
速い動きや跳躍をこなすには、位置感覚を鍛えて機械的に動かすのが超重要です。 -
反復練習で安定させやすい
手の形や感覚を繰り返し体に覚え込ませることで、安定性が向上します。 -
独奏なら十分な音程感が得られる
デメリット
位置感覚で音程を取る--
これは言い換えると、自分の中の”正解”を初めから決めているということ。
しかし、音程における正解は、自分の中ではなく、音楽・ハーモニーの流れの中にあります。

実は今鳴っている音を聴けていないのかもしれません…
耳の感覚で取る音程とは?
”鳴っている音”から探すピッチ

「耳の感覚で取る」とは、“今の音”や“和声”を聴きながら、次の音程を明確にイメージして取る方法です。
同じ「ド」の音でも、自分が前に弾いた音や和声によって、最適な高さが微妙に変わるのです。
この微調整には、耳の力が必要不可欠です。
たとえば「みんなとハモるように弾いて」と言われたとき。
あなたが意識するのは“音同士の高低差”や“バランス”ではないでしょうか?
これが「耳の感覚」で取る音程です。
メリット

-
より美しく、自然な音程が出せる
調性や和声に合わせて微妙に音を調整できるため、響きに溶け込むような音程になります。 -
深い調性やアンサンブルで強みを発揮
デメリット
-
鍛える機会が少ない
ソロでは鍛えにくく、主にアンサンブルにおいて鍛えられます。 - 意識しないと鍛えられない
脳死で弾いているとこの耳の力は鍛えられません。 -
速い曲には不向き
技巧的なパッセージでは、すべての音を「耳で取る」のは現実的に無理です。
物理的な位置感覚に振り切るほうが安定します。
「耳で取る」音程の鍛え方

「耳の感覚」で取る音程は、とても難しく、鍛えにくいです。
ここでは筆者の経験上でのコツをお伝えします。
- 和音のはめ方のセオリーを知っておく
長三和音と短三和音のはめ方など、基本的な和音の高低差を知っておくと“心地よい和音”をイメージしやすいです。
例)長三の第三度は平均律よりちょっとだけ低め、など。 - 少人数でのアンサンブルを経験する
弦楽四重奏・弦楽六重奏など、少人数のアンサンブルを経験すると、より音程に集中しやすいです。
まとめ|「位置」と「耳」の力、どちらも必要!
- まずは「位置」を覚えるのが重要!
- でも美しい音程感覚には「耳の力」が欠かせない!
- 両方を鍛えることで、より心地よい演奏になる
バイオリンの音程は、「位置感覚」で安定させる技術と、「耳の感覚」の両方が求められます。
ひとりで同じ指回りを反復練習するのも大事。
ですが、誰かと弾くなら、耳で聴く力も重要になってきます。
今のあなたに足りないのはどちらなのか--これも、次の演奏へのヒントになるかもしれません!