「いまのE線、裏返る・響かない・物足りない…」そんな悩みを感じていませんか?
そんなあなたにおすすめしたいのが、ヒル(Hill)のE線です。
この弦は「E線専門」で展開されています。
繊細さと力強さを両立した“ゾクゾクするような美音”が特徴。
響きの密度が高く、音抜けも抜群です。
私自身、オブリガートの相棒としてヒルを知り、長年使っていました。
この記事では、バイオリン歴35年以上・海外学生コンクール入賞経験ありの筆者が、
ヒルの音色・操作性・相性のよい弦などを、実体験ベースでレビューします。
E線選びに悩んでいる方、新しい響きを探している方は、ぜひ参考にしてください。
ヒルの長所・短所まとめ
- 高貴・透明な音質
- 音色にクセがない
- レスポンスが良好
- チューニングの安定が早い
- パワーで押すタイプの奏者には物足りないかも
- E線のなかではやや高い
ヒルの生い立ち
ヒルは、イギリスの老舗工房「ヒルアンドサンズ」 – Hill and Sons 社が作っています。
ヒル社は、良質な弓で有名です。
100年前の弓だと数百万するものもあります。
バイオリンも上質で、こちらも数百万のものが多いです。
そのほか、松脂などのアクセサリーも豊富です。
さて、今回のバイオリン弦のヒルは、ヒル社が作っている唯一の弦です。
E線のみですが、ボール・ループエンドともに展開されています。
ちなみに太さも3種類ありますが、このブログではMediumを推奨します。
Thin,Thickは犠牲になる部分が多いからです。
音色… 美しい、透明感のある音

総括すると、ゾクゾクするような美しい音です。
- 明るさと暖かさの中間な音色
けっこうカラフルな音色です。
暖かいADG弦、明るいADG弦、どちらにも合わせられます。 - 雑味が少ない
透明感があります。
テクスチャー(抵抗感)は少ないです。 - 標準~やや明瞭な音
ややはっきりした輪郭です。
●ヒルと相性のよい弦・プレイヤー:
大体の弦・プレイヤーと相性がよいです。
特に大人びた音色のADG弦だと素敵です。筆者はオブリガート+ヒルの組合せでよく使っていました。
ドミナントやトニカなど、中庸よりの弦にも合うと思います。
ソロから内声まで、どんなシーンでも活用できます。
●ヒルと相性の悪い弦・プレイヤー:
パワーで押すタイプのプレイヤーには、ヒルは若干物足りないかもしれません。
語弊を恐れずに言うと、ヒルは「パワーはそこそこに音色で勝負!」という弦です。
また、超パワーのある弦・柔らかすぎる弦には、あまり合わないと思います。
弾きごこち… 分かりやすい
総括すると、レスポンス良好で分かりやすい弾きごこちです。
まず、張力ですが…

実はこの弦、張力が公開されていません。
なので感覚値でお話しすると、標準~やや強めのハリ感です。
具体的な弾きごこちは次のとおりです。
- 輪郭がわりとはっきりしている
- レスポンスが良好
- ハイポジで指が痛くなる人には微妙かも
標準的な弾き方はもちろん、ヴィルトゥオーゾ的な場面でも安心して使えます。
指が痛くなる人には微妙と書きましたが、オブリガートやトニカといった弦が押さえられるのなら全然問題ないです。
チューニングの安定も早いです。
コスト… ちょっと高い
ヒルは、他のE線よりもやや高めです。
- 値段は2,000円前後(2025.4月時点)
- 寿命は4~6か月(平日に30分~1時間、休日に数時間弾く場合)
とはいっても、E線は弦のなかで一番安いので、そこまで差はありません。
寿命は非常に長く、ほかの弦に合わせて張り替えることができます。

まとめ
- 高貴で美しい音に興味がある人
- クリアな音が好きな人
- E線だけ別の弦を探している人
「ヒル」を紹介しました。
この弦の気品あふれる音色は、好きな人が多いと思います。