【透きとおるようなピュアな音!】バイオリン弦「ラーセン・イルカノーネ」特徴などを紹介

  •  ラーセン、興味はあるけど・・・使っている人をあまり見たことがないなあ・・・
  •  他社の弦と比べてメリットはあるの?

世の中にはたくさんの隠れた名弦があります。
しかし、隠れた名弦ほど購入に悩むことも多いのもまた現実です。
使用者が少なく、あまり評判を耳にできないからです。

今回紹介する Larsen Strings – ラーセン社の「ラーセン・イルカノーネ」も、隠れた名弦のひとつです。

私は、ラーセン社の弦を約3年間、その中でラーセン・イルカノーネを約2年ほど使用していました。

この記事では、バイオリン歴35年・コンクール入賞歴ありの筆者が、ラーセン・イルカノーネの特徴や弾きごこちなどを紹介・レビューします。
この記事を読むと、イルカノーネの音色、耐久性、どんなプレイヤーに合うのかが分かります。

ラーセン社の弦は、他社の弦とは性格の違う部分があります。一方で、とても素敵な音色を持っており、人生で一度は試してほしい弦です。
今回紹介するイルカノーネは、ソリストから室内楽プレイヤーまで幅広くおすすめできる弦です。興味のある方はぜひお読みください。

 
筆者

せっかくのバイオリン人生、いろいろな弦を試してほしいです。
イルカノーネの音色が好きな人は沢山いると思います!

簡単な長所・短所まとめ

  • 透明感のあるピュアな音
  • クセのない質感で耳ごこちがよい
  • 触感が柔らかく、あまり力まずに弾ける
  • ランニングコストがよい
  • 弾くのにやや慣れを要する
  • パワー・ハリは他の弦のほうが出しやすい

コンセプト・・・ 「カラフルでクリアな音」

ラーセン社は、デンマークに本社を置く弦メーカーです。もともとはチェロ弦の開発からスタートしました。後に、その技術力を活かしてバイオリン・ビオラ・コントラバス弦の開発も手掛け、現在に至ります。
ですのでラーセンと言われると、バイオリン弦もさることながら、チェロ弦としての評判・イメージが強いですよね。

さて、ラーセン・イルカノーネは、ラーセン社の弦のなかでもわりと最近開発されたものです。
イルカノーネの特徴は、公式ページに分かりやすく書いてあるので引用します。

イルカノーネセットは「カラフルでクリアな音」を提供します。
少しスパイスも感じるトーン。
非常に色彩がある。クリア。明るい。
特にスピッカートにおいて、非常に速く容易に発音できます。

音色・・・ ピュア、柔らかい

ラーセン・イルカノーネの音色は、上の画像のような特徴です。

  • やや明るめの色彩
    Bright(明るい)な色彩。
    ガラス越しに差し込む光のような色味です。
  • ピュアな音質
    この弦最大の特徴。
    クリアで混じり気のない音質。
    特に今回のイルカノーネは、透明度の高い水のような質感です。
  • やや広がりのある音
    ピントはそんなに強くありません。広がるような響きをします。
    一方で、輪郭はそこそこはっきりしています。

ラーセン・イルカノーネと相性のいい場面は室内楽・オーケストラ・小中規模のサロンコンサートなどです。
派手で規模の大きい曲よりも、古典派~初期ロマン派あたりのソナタにピッタリ。
オケ・室内楽でも非常に使いやすいと思います。

ラーセン・イルカノーネが向いていないのは、モダンもの、尖った曲、パワーが必要な曲です
パワーが必要な曲だったら、他社メーカーのエヴァピラッツィロンドのほうがぶっちゃけ弾きやすいと思います。
もっとも、ずっとラーセン弦を使って慣れているのなら、話は別です。


張力、操作性・・・ 張力は標準的。操作は慣れが必要

張力は、全体として標準的です
低弦がやや強く、高弦がやさしめです。

  • メリット:
    • 力みにくい。
    • 落ち着いた音を出せる。
  • デメリット:
    • 下方向の圧力にはあまり強くない。

なお、イルカノーネには「ソリスト」というバージョンもあります。ソリストはかなり張力が強いです。

操作性はけっこう独特です。
ラーセン社の弦は、ピラストロやトマスティークとは若干弾きごこちが異なります。
個人的には、弦を横に広く振動させる感じです。

 
筆者
慣れるのに少し時間を要しますが、慣れたらとても面白いです!

ランニングコスト・・・ ★★★★★(非常にコスパがよい)

  • 本番で使うなら ⇒ 3か月前後
  • 練習するだけ  ⇒ 4~5か月程度

 ※現在の筆者の演奏時間は、平日30~1時間程度、休日1~3時間程度です。
  もっと弾く方や、音大生、プロの方はこれより短くなると思います。

値段:2024.4時点で8,000~10,000円
(円高の影響もあり高めです)

 

  • 寿命は、長いです
    劣化もゆるやかで、ほつれもほぼ無いため、長期間使うことができます。
  • 値段は、安いです。
    使いこなすことができれば、かなりコスパのよい弦になります。
筆者
イルカノーネのみならず、ラーセン社の弦は全体的にかなり安いです!

その他

・A線にはいくつかのマイナーチェンジ版がある

イルカノーネには、「Direct&Focused」「Warm&Broad(A線のみ)」などのマイナーチェンジ版があります。

「ソリスト」と併せて、自分の好みに応じて使い分けることが可能です。

筆者
個人的には、まず無印を使ったあとに、マイナーチェンジ版も試してみるのがいいと思います!

まとめ

  • 柔らかくピュアな音で弾いてみたい人
  • 室内楽、オーケストラ、サロンコンサートを中心に活動している人
  • 古典派~初期ロマン派の曲をよく弾く人
  • 普段とは違うメーカーの弦を試してみたい人

私は現在トマスティーク社の弦を使っていますが、またいつかラーセン社の弦を弾きたいなと思っています。

ぜひラーセン・イルカノーネをはじめ、色々な弦を弾いて、自分の音の引き出しを増やしていきましょう!