今回紹介するのは、ラーセン社の古参の弦、ラーセン・ヴィルトゥオーゾです。
多くの人が使っている「ピラストロ社」、「トマスティーク社」の弦とはまた違ったテイストが楽しめる弦です。
この記事を読むと、ラーセン・ヴィルトゥオーゾの音色、弾きやすさ、値段などの特徴が分かります。
※ラーセン・ヴィルトゥオーゾにはミディアムとストロングがありますが、今回は標準仕様の「ミディアム」をベースに解説します。
ラーセン・ヴィルトゥオーゾの長所・短所まとめ
- ラーセンシリーズのなかでは取り扱いやすい
- 暖かく、雑味が少ない
- 丁寧に弾くが、少し彩りも出したい人向け
- ランニングコストが良い
- 無理やり弾くと音が潰れやすい
- 目立つ音は苦手
ラーセン・ヴィルトゥオーゾの生い立ち
ラーセンと言われると、チェロ弦のイメージが強いですよね。
そのイメージ通り、メーカーの「ラーセン社」はチェロ弦の開発からスタートしました。
後に、その技術力を活かしてバイオリン弦も手掛け、独自の音色で人気になりました。
この歴史から、ラーセン弦全体として、チェロのようにブォンと幅広い音が特徴です。
そんなラーセンシリーズのなかで、ラーセン・ヴィルトゥオーゾは輪郭を比較的捉えやすい弦です。
それでいて音色は心地よく、ラーセン特有の混じり気のない音がします。
以上のことから、初めてラーセンを扱う人でも入りやすい弦です!
音色… 暖かく、雑味が少ない
総括すると、ほっとするような心地よさと、ピュアで澄んだ質感を両立させた音です。
- やや暖かい、ダークな音色
バイオリン弦全体としては暖かいほうです。
(ただし、暖かい弦ぞろいのラーセンシリーズでは明るいほうです) - 雑味が少ない
音色がダークなので感じにくいかもしれませんが、ピュアな音質です。 - やや広がりのある音
室内楽やオーケストラの音に溶けやすいです。
ほどよい輪郭です。
●ラーセン・ヴィルトゥオーゾが映えるシーン:
サロンコンサートなどの空間でとても映えます。
メロディー・内声どちらでも使いやすいです。
「ヴィルトゥオーゾ」の名を冠するだけあり、少し彩りもあります。
もちろん暖かい音を活かしたハーモニー役も素敵です。
●ラーセン・ヴィルトゥオーゾが苦手なこと:
音のハリや、パワーを求められるときです。
こういう人には「ミディアム」ではなく「ストロング」がいいかもしれません。
ただし、ストロングは張力が強いので楽器を傷めないようにご注意ください…
●似ている弦:
オブリガートです。暖かさ、音のクリアさなど、音色がけっこう似ています。
一方、弾きごこちはオブリガートよりもソフトです。
弾きごこち… ややソフト
総括すると、ソフトな弾きごこちで、ていねいな音作りをする人によく合います。
まず、張力は次のとおりです。
張力は標準的です。
データ上はD線が強めですが、実際はそこまで違いを感じません。
具体的な弾きごこちは次のとおりです。
- 押さえやすい
- 輪郭はわりとはっきりしている
- 力で押すと鳴りにくい
以上のことから、弾き方がきれいな人…
とくに、指や手ではなく、腕の重さをきちんと使って音量を出せる人や、そういった弾き方を目指したい人におすすめです。
また、きれいに弾きつつ彩りを補強したい人にも向いています。
ラーセンシリーズのなかでは惹き付ける音が出るからです。
補足ですが、ストロングの張力は E8.4/A6.1/D5.1/G4.9と、超強いです。
こちらは指の強い人向けですね。
コスト… かなり良い
ラーセン・ヴィルトゥオーゾは、ランニングコストがかなり良いです。
- 値段は9,000円前後(2024.11月時点)。
- 寿命は4~6か月(平日に30分~1時間、休日に数時間弾く場合)。
ほかのメーカーの弦よりも長持ちです。
劣化の進行もなだらかです。
補足:余裕のある時期の乗り換えがおすすめ
これまで紹介したように、ラーセン弦は他社弦と比較して、ソフトな弦です。
特に、普段強い弦を使っている人は、余裕があるときに乗り換えるのをおすすめします!
(具体的には、発音のとき…弓を動かす瞬間の抵抗感が違うのですが、この辺りは個人の感覚なので省略します^^)
まとめ
- 暖かい音が好きな人
- ソフトな弾きごこちを試したい人
- 彩りも少し補強したい人
- ランニングコストを良くしたい人
「ラーセン・ヴィルトゥオーゾ」を紹介しました。
これまで特定のメーカーの弦ばかり使っていた人は、こういった弦を一度使ってみると見聞が広がって楽しいと思います!