以前、1stバイオリンのプルト決めについて記事にしましたが、今回は2ndバイオリンのプルトにフォーカスします。
実は2ndのプルト配置、1st以上に「これが正解!」というものがなく、悩ましいところ。
というのも、2ndは扇形に配置されることが多く、選択の自由度が高いためです。
筆者自身、これまで2ndトップをたくさん(たぶん誇張抜きで…)務めてきました。
特にアマチュアオーケストラでは、実際に何度もプルトを編成してきた経験があります。
また、日本のプロや海外の指導者のアドバイスも受けてきました。
本記事では、より良いアンサンブルのためにどうプルトを考えるか、実践的な視点からご紹介します。
悩んでいる方のヒントになれば幸いです!

前提:通常配置と対向配置


前提として、オーケストラの弦楽器にはいくつかの並び方(配置)があります。
今回の記事では、「通常配置」を前提とします。
舞台下手(客席から見て左側)から
1stVn → 2ndVn → Va(Vc) → Vc(Va)
という並び方です。
そちらをどうぞ。
オーケストラの響きを向上させるためには、プルト配置がとても重要です。 しかし、プルトには明確な正解がありません。経験やセンスがモノをいう世界です。 筆者はこれまでコンサートマスター・2ndトップともにそこそこ経験しました。特に、アマオケでの[…]
2ndバイオリンのプルトの決め方

↑筆者の考えかたを簡単に図にしました。
位置によって求められる能力が異なってきます!
超重要なポジション
木管楽器の目の前

- 縦のアンサンブル能力が最も求められる位置。
- 木管楽器(特にフルート)の目の前にいるため、特にタイミングには気を配る必要があります。
- ここに置く人は、堅実かつオケ慣れしている奏者が理想です。
2プル表または3プル表

- 後列に与える影響が大きいポジション。
- どちらかには「信頼の厚い人」を置くことをおすすめします。
3列目以降の奏者は、主にこの2人が視野に入るからです。 - トップの音の熱量、音楽の目標地点を汲みとるのも大切な仕事。

その他のプルトとその役割
トップサイド

- 2ndVnは、中低弦との連携が多い楽器。
- トップと中低弦の間に位置するトップサイドには、調和や協調性が求められます!
- 個人的には、積極的なリーダーシップよりも、全体をよく見て支えるタイプが向いていると思います。
4プル表

- Vn全体の中心的な位置にあたり、1stとの境界にもあたる場所。
- 筆者は、良いモチベーションを与えてくれる人を置いています。
- のびのびと弾ける位置でもあります。
ラスプル(最後列)

- 背後に金管(特にホルン)がいて、音がかき消されやすく、アンサンブルが難しいポジション。
- 勇気を持って、しっかり前を見て合わせられる奏者を置きたいです。
なお、ラスプルは疎外感を感じやすく、アンサンブルの乖離も生じやすい位置。
同じ人を連続してラスプルに起用しない配慮も大事です。
バランスを取るのが◎!
3プル裏

- 他楽器と接する位置で、また指揮者と管楽器の視線の間に居るポジション。
- サイド同様に調和力があり、音楽の流れを感じるのが得意な奏者が良いと思います。
- アンサンブルの面白さを味わいやすい場所でもあります。
その他中央付近のポジション

- のびのびと弾ける自由なポジション。
- 周囲をよく聴きながら楽しめる環境です。
- アンサンブルの醍醐味を味わえる、という意味では2ndならではの魅力的な席。
表裏(パートナー)の組み合わせも重要

プルトの場所と同じくらい、隣同士の相性も大切です。
ペアの呼吸が合うか、キャラクターが一方向に偏っていないか。
この相性を外すと、どんなに実力があっても演奏がかみ合わなくなります。
隣同士の決め方は、1stVnのプルト記事に詳しく書いていますので、ぜひそちらをご覧ください。
まとめ
2ndバイオリンのプルト決めは、「自由度が高いぶん、正解がない」世界です。
前Soliが入る場合など、さらに特殊な配慮が必要になることもあります。
(例:2プル裏に信頼できる奏者を配置するなど)
今回はあくまでも筆者の実体験をベースにした考え方です。
色々な考えがあっていいと思います。
最終的にはパート内の関係性や、曲目などに応じて臨機応変に考えましょう!
