バイオリン弦・肩当て、室内楽曲、オーケストラ曲の紹介・解説をしています。興味があればご覧ください!

【レビュー】ビオラ弦「ダイナモ」の実力とは?内声プレイヤーにおすすめの新定番

  • 「内声らしい響き」を出したい!
  • オケや室内楽でおすすめの弦がほしい!

そんな悩みを抱えるビオラ奏者にこそ試してほしいのが、トマスティーク社の新弦「ダイナモ」です。

この弦の魅力は、ただ柔らかく溶けるだけではありません。
響きに優しさがありつつも、しっかりとした密度と反応性を持ち、
「弾きやすさ」と「表現力」の両立を実現しています。

 
筆者
ダイナモは“内声奏者のための名品”
これ、ほんとにおすすめです!
本記事では、弦楽器歴35年以上の筆者が、
ビオラ用ダイナモの魅力と実力を徹底的にレビューします。
※今回はビオラ用ダイナモの記事です。バイオリン用はこちらで紹介しています。

ダイナモ-Dynamo-の長所・短所まとめ

  • ナチュラルで引き出しの多い音
  • ほどよい輪郭
  • 反応が十分よい
  • 内声奏者にとってはバツグンの使い心地
  • 強いハリを求める人には向かない
  • 流通がまだ少なく、価格が安定しない

ダイナモってどんな弦?|トマスティークが放つ新定番

ビオラ弦「ダイナモ」は、2024年にトマスティーク社から登場した新製品です。

もともとはバイオリン用として開発され、その完成度の高さが話題となり、
同年、満を持してビオラ用もリリースされました。

トマスティークといえば、ドミナントやインフェルドで知られる老舗ブランド。
その公式サイトでも、この「ダイナモ」は発売当初からトップページを飾るなど、
同社がいかに力を入れているかが伝わってきます。

メーカーが掲げるコンセプトは、「幅広いサウンドと表現力」
ソロ・室内楽・オーケストラのどんなシーンでも活躍できるよう、
柔軟で多彩な音作りが可能な弦として設計されています。

 
筆者
バイオリン用の完成度が高かっただけに、ビオラ版も続けて作られました!

音色・操作性など|密度感と広がりを両立するビオラサウンド

音色の特徴|ナチュラルで芳醇、引き出しの多い音

ダイナモ最大の魅力は、その「音色の多彩さ」にあります。
ベースは、ニュートラルで自然な響き。
そこからシーンに応じて、音色の表情を自在にコントロールできます。

  • ナチュラルな色味で、変な味付けがない
  • ややリッチで複雑な質感(ピュア系ではない)
  • 輪郭はくっきりしすぎず、ほどよいピント感

ピラストロ製の弦(例:オブリガートやトニカ)と比べても、
ここまで音の「表情」を引き出せる弦は、なかなかありません。

弾き心地|大人びた柔らかさで、内声にちょうどいい

ダイナモの弾き心地は、しなやかで落ち着いた感触
派手すぎず、柔らかすぎない――まさに「大人のビオラ弦」といった印象です。

内声的な役割を担う場面でも、音が自然に溶け込みながら芯を保つので、
「響きの中に埋もれないけれど、出しゃばらない音」を求める人にぴったりです。

 
筆者
柔らかいけど頼りないわけじゃない。絶妙なバランス感です。

操作性|しっかり反応、でも柔らかすぎない

ダイナモは、内声向けの弦にありがちな「鈍さ」や「モタつき」がありません。
発音がそこそこ速く、どんな曲にも対応できる反応の良さを持っています。

左手の押さえ心地も標準的な硬さで、特に違和感はなし。
柔らかすぎて逆に不安定…という不満も起こりにくいです。
※ただし、操作感はビオラ本体の大きさや構造にも左右されます。

 
筆者
反応が良いので、速いパッセージも安心です!

●おすすめのプレイヤー:

  • オーケストラや室内楽中心の奏者
  • 溶け合う音、内声らしいハーモニーを重視する人

●あまり向かないかも:

  • ソロでの華やかさ・輝きを最重視する人

  • 強いハリや分かりやすさを求める奏者(エヴァピラなどを推奨)

筆者
「内声らしい音」が欲しいなら、この弦は一度試すべき!

価格帯|コスパは?ダイナモの購入ガイド

2025年5月現在、ダイナモのビオラ用セットは約22,000-25,000円程度。
ピラストロ社のオブリガートと同等の価格帯で、
ビオラ弦としてはやや高価な部類に入ります。

とはいえ、その価格に見合うだけの音色と操作性があるのも事実。
音のバランス、扱いやすさ、そして表現力の広さを考えると、
「納得の価格帯」と言えるでしょう。

流通がまだ少ない…

ダイナモのデメリットは、まだ流通が少なく、価格が安定しないこと。
国内外の楽器店・ECサイトではまだ流通が少ないのが現状です。
取り扱いショップをしっかり選ぶ必要があります。

 
筆者
Amazonはぼったくり価格しかありません…笑
下のリンク先なら、Yahooショッピングやサウンドハウスをおすすめします!

その他|見逃せない使用感のポイント

寿命|標準〜やや長めで安心

ダイナモは、耐久性においても安定した性能を発揮します。
通常使用であれば、4〜6か月の寿命が目安。
オブリガートやラーセンに比べても、やや長めに使える印象です。

音の劣化も緩やかで、急に曇ったり、反応が悪くなることは少なめ。
頻繁に弦を替えたくない人にとっては、大きなメリットになります。

※アマチュアの方が日々30分-1時間程度練習することを目安としています。

 
筆者
練習だけなら、そこそこ長めに使えます!

チューニングの安定性|かなり良好

ダイナモのもう一つの強みが、チューニングの安定性です。
張ってから馴染むまでの時間は比較的短く、特に湿度変化に強い印象があります。

練習や本番の途中で大きくズレることが少なく、
安心して演奏に集中できるのも、この弦の魅力の一つです。

まとめ|音色に妥協したくない内声プレイヤーへ。一度試してほしい弦

  • 溶け合う音、広がる響きを追求する人
  • オーケストラ・室内楽プレイヤー
  • ほどよい操作性も求める人

ビオラ弦「ダイナモ」は、柔らかさと使いやすさを兼ね備えた新定番弦です。
響きは柔らかく自然で、内声的な役割にぴったりフィット。
それでいて反応も良く、操作性にも優れています。

特におすすめしたいのは、室内楽やオーケストラで
「溶け合う音」「支える響き」を求めるプレイヤー。
ソロで派手に鳴らす弦ではありませんが、
内声としての理想を形にしたようなバランス感があります。

価格は少し高めですが、クオリティは申し分なし。
「自分の音色を引き出したい」「新しい弦を試してみたい」
そんなビオラ奏者に、ぜひ一度手に取ってほしい弦です。