【特にオケマン・室内楽奏者向け】iPad Proを使った電子楽譜運用のすすめ

私は、約3年前に紙の楽譜から電子楽譜(iPad Pro)に移行しました。

はじめは導入コストが掛かりましたが、現在は電子楽譜にして本当に良かったなあと思っています。

この記事では、バイオリン歴30年以上、オーケストラ歴20年以上の筆者が、電子楽譜のメリット・デメリットを紹介します。

結論、オケマン・室内楽奏者でお金がある人は、ぜひ電子楽譜を検討したほうが良いです。

電子楽譜運用のメリット

楽譜の管理をしなくて済む

電子楽譜にすると、楽譜の管理が超ラクです。

具体的には、次のとおり。

  • 印刷・製本を省ける。
  • 楽譜とスコアを切り替えられる。
  • タブレット1つで楽譜を一元管理できる。

特に大きいのが、印刷・製本の時間を省けること。

私のようなオケマンは、1つの演奏会に参加すると3~4曲分の印刷・製本がもれなく付いてきます。

さあ練習するかと意気込み、まず譜面を何十枚と印刷。

そして、製本しているうちに・・・

その日のモチベーションはすっかり無くなります(笑)

一方、電子楽譜運用であれば、タブレット上でダウンロードするだけです。

上のように、自分のドライブ経由で落とすことも、imslpから直接ダウンロードすることもできます。とっても時短です。

「え、でも紙媒体しかない楽譜はどうすんのよ?」

撮影すればOKです。

ブログだと画像がどうしても100KB未満に圧縮されてしまうので、実際はこれの10倍綺麗です。実際のをお見せしたい・・・

あと、端末上でパート譜とスコアをすぐに切り替えられるのもgood。
練習中にカバンからスコアを出して見るの、けっこう手間だし、周りの話を聞けなくなるんですよね。

タブレットなら、画面上部をワンタップすれば楽譜とスコアを切り替えられます。

・・・という風に、電子楽譜なら、紙の楽譜で起こりうる余計な時間・労力をカットして、練習時間に充てることができます。

脳のリソースが空く感覚にもなります。

筆記用具・チューナー・メトロノームが不要

紙の楽譜のお友達、鉛筆くんと消しゴムくん。

HBだと非常に見づらいから、最低B以上の鉛筆くんを用意しなきゃいけない。

ときどきカバンに入れ忘れて、周りの人に貸してもらう。

失くして買いなおすことも・・・

嗚呼めんどくさい。

電子楽譜なら、スタイラスペン(アップルペンシル等)を端末にくっつけるだけで済みます。

さらに、筆記用具だけでなく、チューナー・メトロノームも使うことができます。
小物がいらなくなるのが最高です。
Piascoreという楽譜アプリならこれらがデフォルトで付いています。

足で譜めくりができる

無線接続の譜めくりパッドによって、足で譜めくりができるようになります。

「ちゃんと反応するの?」

「周りの電子機器と干渉しないの?」

大丈夫です。今までトラブルになったことはありません。

タブレット4人で室内楽(本番)をやったときも、問題ゼロでした。

万が一上手くいかなくても、サッとスワイプすればいいし、楽譜アプリによっては「ウインク譜めくり」という機能もあります。

意外と使えます(まばたきとウインクを見分けるiPadすごくない?)。

譜めくりが不安ならこの画像と同じものを買ってください。私はこれを3年使って何の文句もありません。
とても軽くて正確。使いやすいです。

電子楽譜運用のデメリット

充電を忘れるとちょっと焦る

練習の前夜に充電を忘れるとちょっと焦ります。

ただし、デメリットではあるものの充電関係でそんなに困った記憶はないです。

最悪、オケなら隣の人の楽譜を使わせてもらえばいいし、室内楽・ソロならコンセントの近くで弾かせてもらえばいいので。

というか、3年間で充電で困った回数よりも、1年間で紙の楽譜を忘れて困った回数のほうがはるかに多い。

※バッテリー持ちについて
明るさ最大で楽譜を表示させると、4時間×2回の練習でバッテリーがほぼゼロになります。(iPad Pro3年目)

つまり2コマ分は行けるかな、という感じ。

買ったばかりの人や、練習の合間でうまく節電できる人なら、さらに持つと思います。

充電速度は、1~2時間あれば50%程度回復します。

見開きにできない

電子楽譜最大のデメリットがたぶんこれです。

といっても、自分で弾いているときは問題ありません。
見開きにできずに譜めくりの回数が多くなっても、足でポンと押すだけですからね。

ではどういうときにアダとなるのか?

それはオーケストラ・速い曲・隣の人がいるという条件がそろったときです。

速い曲で、隣の人が電子楽譜慣れしていないと、あれよあれよと移っていく画面を見させることになります。(もちろん譜めくりパッドは自分が操作するうえで)
「なんだか目まぐるしくて申し訳ないなあ」と思ってしまいます。

ですので、私は、速い曲のときに隣の人が紙楽譜の場合は、そちらを見させてもらっています。

電子楽譜運用に必要なもの

タブレット…iPad Pro 12.9インチが最もおすすめ

iPad Proの12.9インチがおすすめです。

理由は次の3つです。
「画面が大きい」
「動作が安定している」
「カメラ性能が高い」

まず1番目の大きさについて。
12.9インチ=32.7cm。A4の縦サイズは29.7cm。
非画面部分を考慮してもA4と同じ感覚で見ることができます。

2番目の動作について。これはApple製品だから言うまでもないですね。
私はiPad Proで20回近く本番をやりましたが、フリーズ・誤作動は一度もありません。

3番目のカメラ性能。Apple製品のクオリティが本当にすごいです。
先ほどお見せした撮影版楽譜も、まったく問題なく見れます。

「電子楽譜専用のタブレットもあるけど、どうなの?」

⇒私はiPad Proのほうがいいと思います。
理由:
・専用タブレットそのものが超高い(大体16万以上する)
・大体すぐに生産終了する(=サポートが終わってしまう)
・Apple製品のほうがクラウド・アプリとの連携が良い

やはり、タブレットはApple一強だと思います。コスト面でも、ノウハウ面でも。

以上から、iPad Proの12.9インチをおすすめします。

世代について

iPad Proには第7世代までのモデルがあります。

結論、電子楽譜メインで使うなら、第3世代(2018年)か第5世代(2021年)がおすすめです。

他の世代ですが・・・
まず第1・第2世代は11インチなので除外。

次に、第7世代(2024年5月に出たばかり)は、超オーバースペック。ガチの動画編集者向けです。
電子楽譜にはもちろん過剰。しかも20万円超と高額。

最後、第4・第6世代は若干コスパが悪い。
iPadは主に奇数世代で大きなモデルチェンジがされています。なので偶数世代はあまり違いが見られず、しかも流通が少ないのです。

したがって、流通量が多くて安い第3・第5世代がおすすめです。

値段は、第3世代が8~9万円、第5世代が10万円ちょっとです。

第3・第5世代の違いですが、第5世代のほうがカメラ・液晶が若干きれいです。
また、第5世代にはM1チップというMacbook Airなどで使われている優秀なプロセッサーが付いています。

あと、通信方式・容量ですが、電子楽譜メインで使うなら、Wi-Fiモデル・小容量で十分です。
Wi-Fi範囲外で楽譜のダウンロードが必要なときは、iPhoneに落としてからiPadにAirDropすればOK。(AirDropはネット通信不要です)
また、楽譜で数十~数百GBの容量を使いつくすことは絶対にないはずです。

ちなみに私は第5世代のWi-Fiモデル(一番容量の小さい128GB)を使っています。

タブレット以外で用意するもの

  • スタイラスペン(Apple Pencilなど)
  • カバー
  • 譜めくりパッド
  • 楽譜アプリ

ペンは、タブレット本体にくっつくやつがおすすめ。

カバーは、純正品よりもこのESRのほうが安くて良いです。

譜めくりパッドは、ぶっちゃけ1種類しか使ったことないので比較できません。

なので絶対評価になりますが、下のBlueTurnという製品は非常におすすめです。

理由は3点。コンパクト・軽量・正確性。いままで不満を感じたことがないです。

楽譜アプリはお好みです。私はPiascoreを使っています。

(Piascoreの良いところ)
・動作がスムーズ。
・チューナーとメトロノームが付いている。
・GoogledriveやDropboxと連携可能。
・imslpから直接楽譜をダウンロード可能(←コレが唯一無二。最高)。

まとめ

  • 楽譜の管理が超ラク
  • 筆記用具・小物類が不要になる
  • 足で譜めくりができる
  • 買うならiPad Pro第3・第5世代がおすすめ