- ピーターインフェルドって色々な評判があるけれど、音質や寿命はどうなんだろう?
- きちんと音は伸びる?悪目立ちしない?
ピーターインフェルド(ペーターインフェルド)は、2000年代に開発された新しい弦です。
現在は市場にもよく出回るようになりました。
私はピーターインフェルドを数年間使用し、数回の本番を経験しました。
結論として、非常に色彩豊か・パワフルでおすすめできる弦です。
とても煌びやかでパワーがあります!
この記事では、バイオリン歴35年以上の筆者が、ピーターインフェルドの特徴や弾きごこちなどを紹介・レビューします。
この記事を読むと、ピーターインフェルドの音色、寿命、どんなプレイヤーに合うのかが分かります。
簡単な長所・短所まとめ
- キラキラした華やかな音色 ⇒ 特にメロディーライン向き
- 風合いのある質感 ⇒ 色彩の変化を楽しめる
- 輪郭がはっきりしている
- 音量を出しやすい
- 背景に溶けるような音は苦手
- 張力が強く、楽器との相性がわりと出る
- 最近は値段が上がってきている
コンセプト・・・ 「パワフルさ」と「音の変化」を追求している
ピーターインフェルドのコンセプトは大きく2点あります。
ピーターインフェルドは、トマスティーク社の前社長名 “Peter Infeld” を冠しています。
同じくピラストロ社の社長名を冠した、エヴァピラッツィ “Evah Pirazzi” に対抗したと言われています。
実際、ピーターインフェルドとエヴァピラは似た音色を持っており、同じくパワーがあります。
トマスティーク社の公式ページでは、ピーターインフェルドの公式レビューがいくつか挙げられていますが、共通して「Variety of colors」と書かれています。
元々トマスティーク社の弦は、「この弦はこういう音質!」という性格が強かったです。
ピーターインフェルドの開発により、ひとつの音質ではなく多様性という選択肢を作ったと言われています。
音色・・・ 星のようにキラキラした華やかな音
ピーターインフェルドの音色は上の画像のとおりです。
- 輝かしい色彩
星のように輝かしい。
とても華やかな色彩です。 - とても風あいのある音質
音に特有のテクスチャー(質感)を感じられ、色合いが変化する。
とても面白い弦です。
インフェルド赤/青を使ったことがある人はよくわかると思います。弦に味付けが施されており、とてもカラフルな音が出ます。 - やや強めのピント
音の輪郭を伝えやすい。速いパッセージでも細部まで聴かせられます。
ただし、エヴァピラほどピントは強くない。
良い意味で少しブレがあります。
相性のいいシーンは、ソロリサイタルや、オーケストラ/室内楽でのメロディーライン。
映えます。個人的には、イタリア・ロシアものによく合いそうです。
他方、内声やベースラインとしても違和感はありません。悪目立ちしないからです。
逆に苦手なシーンは、内に秘めるような音を出すときや、緩徐楽章で背景役に回りたいときです。
プロの演奏家では、ニューヨークフィルのコンマスである Glenn Dicterow 氏が使用しているそうです。
張力、操作性・・・ 張力はかなり高い。操作性はバツグン
ピーターインフェルドの張力はかなり高いです。
- メリット:
- パワフルな音量 ⇒ パワーに悩む人におすすめ。この弦で「音量足りない!」なんて事は基本無い
- 芯のある音 ⇒ 大きなホールでもきちんと輪郭を伝えられる
- デメリット:
- 楽器との相性が強く出る ⇒ モダン楽器なら問題ないが、一般的にオールド楽器には不向き
- 力のコントロールが必要 ⇒ 力みやすい。中上級者向けの弦
ちなみに、ピーターはよく側鳴りする(=音が遠くに伸びない)と言われますが、そんなこと無いです。
実際にプロのソリストも多く使っているのが良い証拠です。
人によってはE線で指が痛くなるかもしれません。
代替弦として、ゴールドブラカットプレミアムの真鍮(ブラススチール)は似たような音色でおすすめです。
操作性は、右手、左手ともに◎です。
最近の弦は、テンションが強くてもレスポンス良好のものが多いです。(※本来、テンションが強い弦はレスポンスが悪い傾向にあります)
なお、慣れないうちは左手が少し疲れるかもしれません。
ランニングコスト・・・ 徐々に高くなっている
- 本番で使うなら ⇒ 3か月以内
- 練習するだけ ⇒ 3~4か月程度
※現在の筆者の演奏時間は、平日30~1時間程度、休日1~3時間程度です。
もっと弾く方や、音大生、プロの方はこれより短くなると思います。
値段:2024.4時点で13,000円~15,000円
(円高の影響もあり高めです)
最近は少し値段が上がっています。
高いか安いかは、どの弦から乗り替えるかによって違うと思います。
エヴァピラよりは安いです(16,000~18.000円)。エヴァピラからの乗り替えには良いですね。
寿命は、標準的。
劣化が来るまではけっこう長いですが、ひとたび劣化が始まると、急激に味気なくなります。あまりにも凡庸になるので、ちょっと練習にも使いづらいかな・・・
なお、サンプルは少ないですが、筆者の周りに何人か手汗体質の人がいて、E線のメッキが剥がれるペースが早いそうです。
その他長所、短所
◎チューニングの安定が比較的早い
私の場合、張って2~3日で調弦が安定します。
▲音が落ち着くまでに少し時間がかかる
張ってから数日間は、ギラギラした音がします。
よく弾けばまろやかになります。頑張ってエイジングしましょう。
まとめ
- 華やかな音・輝きのある音を試してみたい人
- メロディーラインを楽しみたい人(オケの1stバイオリンなど)
- 音量を補強したい人
- 今までどんな弦でも自分の楽器に合っていた人
ピーターインフェルドは、とてもパワフル、かつ弾くのが面白い弦です。
強い弦が苦手な人も、ぜひ一度触ってみる価値はあると思いますのでいかがでしょうか。
ピーターの強さに色々とびっくりしてしまいました。
それでも、素晴らしい弦だと思いました!