カルテットをやろう!となったときに、「最初の一曲」に向いた曲・向いていない曲があります。
端的に言うと、調性がシンプルな曲、お互いの役割が分かりやすい曲がおすすめです。
なぜなら、初結成だとお互いの音程感・バランス・リズム感などが分かっていないからです。
(これはたとえ上級者の方同士でも、同じことが言えます)
「高い完成度を目指したい!」
「上手なチームにしたい!」
こういった目標の方は、この記事の曲から始めてみてはいかがでしょうか?
そのうえで、迷ったときにおすすめの曲を紹介します!
概要
| 初結成時におすすめの曲17選! | |
| ハイドン |
弦四74番「騎士」、76番「五度」、77番「皇帝」、77番「日の出」 |
| モーツァルト |
弦四14番「春」、17番「狩」、19番「不協和音」 |
| ベートーヴェン |
弦四1-6番 |
| メンデルスゾーン |
弦四1-2番 |
| ドヴォルザーク |
弦四12番「アメリカ」 |
| チャイコフスキー |
弦四1番 |
ハイドン「エルデーディ四重奏曲群」

ハイドンの特徴は「明快」「楽しい」。
奏者同士の対話を目指した作曲家です。初結成にイチオシの曲揃いです!
| 弦四74番「騎士」g-moll | ||
| 21分(5/6/4/6) | 堂々 | |
| 技術:やや易 | 曲作り:易 | |
↑古い音源のため聴きづらいかもしれません!(以下同様)
かっこいい曲です。4楽章のギャロップふうのリズムから副題が付いています。
1楽章の指さえ回れば弾きやすいと思います。はずむような曲調が好きならおすすめです!
(上の音源は4楽章です)
| 弦四76番「五度」d-moll | ||
| 22分(9/6/3/4) | ダーク | |
| 技術:やや易 | 曲作り:易 | |
堂々とした短調の曲で、冒頭のADEAの音がとても印象的です。
ひじょうに充実しています(1stはやや忙しめです)。
| 弦四77番「皇帝」C-dur | ||
| 24分(7/7/4/6) | 堂々 | |
| 技術:やや易 | 曲作り:易 | |
明朗快活。2楽章には現ドイツ国歌の元となった旋律があります。
筆者イチオシの曲です!
| 弦四78番「日の出」B-dur | ||
| 23分(9/6/4/4) | 優雅 | |
| 技術:やや易 | 曲作り:やや易 | |
優雅な曲。朝霧のなかを、日が立ち昇るようなメロディーで有名です。
冒頭だけだと1st独壇場と思われがちだが、実は4声部すべて出番のある良曲です。

モーツァルト「ハイドンセット」

モーツァルトの特徴は「軽快」「ユーモラス」。
腕に自信がない人でも弾きやすい曲が多いです。もちろん上級者にもおすすめ。
※アイネクやディベルティメントなど、誰もが知る曲は省略します。
| 弦四14番「春」G-dur | ||
| 29分(8/8/7/6) | 軽やか | |
| 技術:易 | 曲作り:易 | |
全曲通してとっても麗らか。
余裕をもって弾けるとさらに素敵です。
| 弦四17番「狩」B-dur | ||
| 25分(8/4/7/6) | 爽やか | |
| 技術:やや易 | 曲作り:やや易 | |
とても充実。秋の色づいた森を思わせます。
モーツァルトの中ではやや上級者向けかも?拍子感のあるチームにおすすめです。
| 弦四19番「不協和音」C-dur | ||
| 30分(9/9/6/6) | ユーモラス | |
| 技術:易 | 曲作り:易 | |
序奏の不協和音が印象的だが、以降は冗談のように軽快。
あまり技術に自信がない人でもおすすめ。あればさらに楽しいです!
ベートーヴェン前期

特徴は「発展的」。
ハイドン・モーツァルトが作った古典派をベースにして、さまざまな発展を与えた人物です。
腕に自信があるチームなら初結成でもいけるでしょう。
| 弦四1番 F-dur | ||
| 27分(9/9/3/6) | 溌剌 | |
| 技術:標準(4movが難) | 曲作り:やや易(2movが難) | |
元気で明るい、ただし2楽章だけ「墓」を想像した悲壮な曲です。
1楽章は単純明快で、単一楽章としてもおすすめです。
| 弦四2番 G-dur | ||
| 24分(8/6/4/6) | 優雅 | |
| 技術:やや易(1stが難) | 曲作り:易 | |
「挨拶」という隠れた副題が付いています。
やや1stに技術が寄っているので、バイオリンに自信があればどうぞ。
| 弦四3番 D-dur | ||
| 24分(8/7/3/6) | 伸やか | |
| 技術:やや易 | 曲作り:易 | |
デビューしたての頃の曲。伸びやかで素敵です。
小回りが多いので、指回りのよいチームにおすすめです。
| 弦四4番 c-moll | ||
| 23分(8/7/4/4) | ダーク | |
| 技術:やや易(1stが難) | 曲作り:やや易 | |
難聴を自覚したベートーヴェンの、絶望がうかがえるような曲です。
キャッチーで聴き映えするので、前期の中では一番おすすめです。
演奏者としてもやりがいあり!
| 弦四5番 A-dur | ||
| 27分(7/5/9/6) | 優雅 | |
| 技術:やや易 | 曲作り:標準 | |
2番と同じく優雅。こちらの方が、低弦のメロディーが多いかもしれません。
変奏曲ふうの4楽章が目玉です。
| 弦四6番 B-dur | ||
| 25分(6/7/4/8) | 充実 | |
| 技術:標準 | 曲作り:標準 | |
心躍るような充実さが魅力。ただし、4楽章冒頭だけは雷に打たれたかのようにシリアス。
この中では難しめです。腕に自信があれば!
メンデルスゾーン前期

特徴は「ロマンチック」「旋律的」。
古典派をベースに自由で伸びやかな旋律を与えた、初期ロマン派の人物です。
旋律的な音楽を好むならぜひおすすめします。
| 弦四1番 Es-dur | ||
| 24分(8/4/4/8) | 柔らか | |
| 技術:やや易(4movが難) | 曲作り:標準 | |
芳醇で柔らかい。ただし4楽章だけ稲妻のようにドラマチック。
筆者はこの曲が大好きです。
♭が多いので、音程感覚に自信のあるチームにおすすめです。
| 弦四2番 a-moll | ||
| 32分(9/8/6/9) | 流麗 | |
| 技術:標準(1stが難) | 曲作り:やや易 | |
全体的に流麗。問いかけに始まり、答えを待つロマンチックな曲です。
1番よりもやや技巧的。特に、2楽章以降の1stがヴィルトゥオーゾチックです。
技術に自信があればぜひトライしてください。
ドヴォルザーク

特徴は「郷愁的」「心を奪うメロディー」。
チェコの作曲家です。民族音楽の要素が入っており、郷愁感を覚える曲が多いです。
彼の紡ぐメロディーは、多くの名作曲家をも虜にしました。
| 弦四12番「アメリカ」 F-dur | ||
| 26分(9/8/4/5) | 伸やか | |
| 技術:やや易(1stはやや難) | 曲作り:易 | |
大地を駆ける少年のようなメロディー。機関車のようなリズム。
観客の心を一気に奪う曲です。
全パート楽しくておすすめ。ただし1stに高音の往復が多いのだけ注意です。
チャイコフスキー

特徴は「情熱的」「民謡風」。
この時代は初結成向きではないものが多いですが、チャイコには弾きやすくて素敵な曲がひとつあります。
| 弦四1番 D-dur | ||
| 26分(8/7/4/7) | 暖かい | |
| 技術:標準 | 曲作り:やや易 | |
2楽章の「アンダンテ・カンタービレ」が有名です。
前半はゆったり。後半は民族舞曲風で楽しいです。
歌心のあるチームならぜひおすすめします。
その他
今回は紹介しませんでしたが、その他のおすすめの曲を載せておきます。
| その他、おすすめの弦楽四重奏曲(初結成時) | |
| ハイドン |
弦四39番「鳥」, 67番「ひばり」, 75番, 80番 |
| モーツァルト |
弦四21-23番「プロシャ王」 |
| ディッタースドルフ |
弦四6番 |
| スーク |
弦四1番 |
| ボロディン |
弦四2番 |
まとめ
初結成時におすすめの弦楽室内楽曲を紹介しました。
あくまでも、室内楽はやりたい曲をやるのが一番です。
そのうえで迷ったときは、これらの曲から始めてみてはいかがでしょうか!