バイオリン弦・肩当て、室内楽曲、オーケストラ曲の紹介・解説をしています。興味があればご覧ください!

【弾きやすいが、奥は深い】初めの一曲におすすめの弦楽四重奏曲

カルテットをやろう!となったときに、「最初の一曲」に向いた曲・向いていない曲があります。

端的に言うと、調性がシンプルな曲、お互いの役割が分かりやすい曲がおすすめです。

なぜなら、初結成だとお互いの音程感・バランス・リズム感などが分かっていないからです。
(これはたとえ上級者の方同士でも、同じことが言えます)

「高い完成度を目指したい!」
「上手なチームにしたい!」
こういった目標の方は、この記事の曲から始めてみてはいかがでしょうか?

 
筆者
あくまでも「やりたい曲をやるのが一番」!
そのうえで、迷ったときにおすすめの曲を紹介します!
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ハイドン

ハイドンの特徴は「明快」「楽しい」
奏者同士の対話を目指した作曲家です。初結成にイチオシの曲揃いです!

弦楽四重奏曲第74番「騎士」
21分(5/6/4/6) 堂々
技術:やや易 曲作り:易

↑古い音源のため聴きづらいかもしれません!(以下同様)

かっこいい曲です。4楽章のギャロップふうのリズムから副題が付いています。
1楽章の指さえ回れば弾きやすいと思います。はずむような曲調が好きならおすすめです!
(上の音源は4楽章です)

弦楽四重奏曲第76番「五度」
22分(9/6/3/4) ダーク
技術:やや易 曲作り:易

堂々とした短調の曲で、冒頭のADEAの音がとても印象的です。
ひじょうに充実しています(1stはやや忙しめです)。

弦楽四重奏曲第77番「皇帝」
24分(7/7/4/6) 堂々
技術:やや易 曲作り:易

明朗快活。2楽章には現ドイツ国歌の元となった旋律があります。
筆者イチオシの曲です!

弦楽四重奏曲第78番「日の出」
23分(9/6/4/4) 優雅
技術:やや易 曲作り:やや易

優雅な曲。朝霧のなかを、日が立ち昇るようなメロディーで有名です。
冒頭だけだと1st独壇場と思われがちだが、実は4声部すべて出番のある良曲です。

弦楽四重奏曲第79番「ラルゴ」
20分(5/8/3/4) 優雅

技術:やや易(4movが難)

曲作り:やや易(2movが難)

少し大人びた曲調です。落ち着きのあるチームにぜひ。
楽章によって難易度に差があります。
1,3はとても弾きやすいです。2楽章のラルゴは取り組みがいあり。4楽章は超速いです(笑)
2楽章を沈まずに作れるととても素敵ですね。

筆者
ハイドンは「昔の曲は低音がつまらない」というイメージを覆すと思います!

モーツァルト

モーツァルトの特徴は「軽快」「ユーモラス」
腕に自信がない人でも弾きやすい曲が多いです。もちろん上級者にもおすすめ。

※アイネクやディベルティメントなど、誰もが知る曲は省略します。

弦楽四重奏曲第14番「春」
29分(8/8/7/6) 軽やか
技術:易 曲作り:易

全曲通してとっても麗らか
余裕をもって弾けるとさらに素敵です。

弦楽四重奏曲第17番「狩」
25分(8/4/7/6) 爽やか
技術:やや易 曲作り:やや易

とても充実。秋の色づいた森を思わせます。
モーツァルトの中ではやや上級者向けかも?拍子感のあるチームにおすすめです。

弦楽四重奏曲第19番「不協和音」
30分(9/9/6/6) ユーモラス
技術:易 曲作り:易

序奏の不協和音が印象的だが、以降は冗談のように軽快
あまり技術に自信がない人でもおすすめ。あればさらに楽しいです!

ベートーヴェン

特徴は「発展的」
ハイドン・モーツァルトが作った古典派をベースにして、さまざまな発展を与えた人物です。
腕に自信があるチームなら初結成でもいけるでしょう。

弦楽四重奏曲第1番
27分(9/9/3/6) 溌剌
技術:標準(4movが難) 曲作り:やや易(2movが難)

元気で明るい、ただし2楽章だけ「墓」を想像した悲壮な曲です。
1楽章は単純明快で、単一楽章としてもおすすめです。

弦楽四重奏曲第2番
24分(8/6/4/6) 優雅  
技術:やや易(1stが難) 曲作り:易

「挨拶」という隠れた副題が付いています。
やや1stに技術が寄っているので、バイオリンに自信があればどうぞ。

弦楽四重奏曲第3番
24分(8/7/3/6) 伸やか
技術:やや易 曲作り:易

デビューしたての頃の曲。伸びやかで素敵です。
小回りが多いので、指回りのよいチームにおすすめです。

弦楽四重奏曲第4番
23分(8/7/4/4) ダーク
技術:やや易(1stが難) 曲作り:やや易

難聴を自覚したベートーヴェンの、絶望がうかがえるような曲です。
キャッチーで聴き映えするので、前期の中では一番おすすめです。
演奏者としてもやりがいあり!

弦楽四重奏曲第5番
27分(7/5/9/6) 優雅
技術:やや易 曲作り:標準

2番と同じく優雅。こちらの方が、低弦のメロディーが多いかもしれません。
変奏曲ふうの4楽章が目玉です。

弦楽四重奏曲第6番
25分(6/7/4/8) 充実
技術:標準 曲作り:標準

心躍るような充実さが魅力。ただし、4楽章冒頭だけは雷に打たれたかのようにシリアス。
この中では難しめです。腕に自信があれば!

メンデルスゾーン

特徴は「ロマンチック」「旋律的」
古典派をベースに自由で伸びやかな旋律を与えた、初期ロマン派の人物です。
旋律的な音楽を好むならぜひおすすめします。

弦楽四重奏曲第1番
24分(8/4/4/8) 柔らか
技術:やや易(4movが難) 曲作り:標準

芳醇で柔らかい。ただし4楽章だけ稲妻のようにドラマチック。
筆者はこの曲が大好きです。
♭が多いので、音程感覚に自信のあるチームにおすすめです。

弦楽四重奏曲第2番
32分(9/8/6/9) 流麗
技術:標準(1stが難) 曲作り:やや易

全体的に流麗。問いかけに始まり、答えを待つロマンチックな曲です。
 1番よりもやや技巧的。特に、2楽章以降の1stがヴィルトゥオーゾチックです。
技術に自信があればぜひトライしてください。

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ドヴォルザーク

特徴は「郷愁的」「心を奪うメロディー」
チェコの作曲家です。民族音楽の要素が入っており、郷愁感を覚える曲が多いです。
彼の紡ぐメロディーは、多くの名作曲家をも虜にしました。

弦楽四重奏曲第12番「アメリカ」
26分(9/8/4/5) 伸やか
技術:やや易(1stはやや難) 曲作り:易

大地を駆ける少年のようなメロディー。機関車のようなリズム。
観客の心を一気に奪う曲です。
全パート楽しくておすすめ。ただし1stに高音の往復が多いのだけ注意です。

チャイコフスキー

特徴は「情熱的」「民謡風」
この時代は初結成向きではないものが多いですが、チャイコには弾きやすくて素敵な曲がひとつあります。

弦楽四重奏曲第1番
26分(8/7/4/7) 暖かい
技術:標準 曲作り:やや易

2楽章の「アンダンテ・カンタービレ」が有名です。
前半はゆったり後半は民族舞曲風で楽しいです。
歌心のあるチームならぜひおすすめします。

その他

今回は紹介しませんでしたが、その他のおすすめの曲を載せておきます。

その他、おすすめの弦楽四重奏曲(初結成時)
ハイドン

弦四39番「鳥」, 67番「ひばり」, 75番, 80番

モーツァルト

弦四21-23番「プロシャ王」

ディッタースドルフ

弦四6番

スーク

弦四1番

ボロディン

弦四2番

 

まとめ

初結成時におすすめの弦楽室内楽曲を紹介しました。

あくまでも、室内楽はやりたい曲をやるのが一番です。

そのうえで迷ったときは、これらの曲から始めてみてはいかがでしょうか!

 

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